本日、令和3年2月22日、行政書士制度は創設から満70年を迎えました。皆様とともに、このような記念すべき節目の年を迎えることができますことを大変嬉しく思います。
また、これまで行政書士制度の発展に寄与してこられた諸先輩方を始め、関係各位の並々ならぬ御努力に思いを馳せますと、制度が歩んできた70年という重みに言葉では言い表せないほどの深い感慨を覚えます。この場を借りて、関係の皆様に深甚なる敬意を表しますとともに、衷心より感謝を申し上げます。
さて、諸説によれば江戸時代にまで起源を遡ると言われている行政書士制度は、公式なものとしては明治時代初期の代書人制度が始まりとなります。そして、大正時代の法制度化を経て、昭和26年2月22日法律第4号として「行政書士法」の公布に至りました。その後、数次の法改正を経て、今日に至ります。
この間、私たち行政書士は国民と行政の架け橋として、変遷する社会の要請に応じてより高い専門性を身に付け、活動の幅を広げながら、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に貢献してまいりました。そして、近年では、ADRや成年後見、法教育、公共嘱託、災害支援等にも取り組み、地域に必要不可欠な法律専門職として、地域社会に根差した活動にも力を注ぐことで、制度としての社会貢献の幅を一層広げているところです。
このような行政書士制度ですが、目下の重要な課題として、まずはこのコロナ禍における対応があります。昨年来、多くの中小企業者や国民の皆様が新型コロナウイルスによる禍害を被り、今もなお困難の中にあります。ここまで私たち行政書士は、持続化給付金申請手続をお手伝いするなど、そのような方々の事業支援、生活支援等に努めてまいりました。また、来月から申請受付が始まる一時支援金においても、申請代行などの支援や事業確認機関としての役割を通して、コロナ禍の影響を受けた中小企業者を支えてまいります。感染が収束するまでにはなおも多くの時間を要することが懸念されており、今後も様々な形で貢献をしていかなければならないと考えています。
そしてもう一つの重要な課題としては、急速なデジタル化への対応があります。行政やその他社会制度のデジタル化によって国民、特に高齢者が置き去りにされないよう、各制度構築に意見を表明していくとともに、行政書士会をあげて国民を支援する体制を整えることも、大きな責務と考えています。
いつの時代においても国民の負託に応え、国民生活の向上と社会の発展に寄与していくことが私たち行政書士の使命です。この使命を果たすべく、この伝統ある行政書士制度を次世代に継承し、更なる制度の発展に努めてまいります。
令和3年2月22日
日本行政書士会連合会
会 長 常 住 豊