特定行政書士制度の創設の経緯について

官公署に提出する書類等の作成・提出を行うことを業とし、行政に関する手続を熟知する行政書士が、行政不服申立てまでを取り扱えることとなれば、国民利便の一層の向上に資することとなり、また、行政書士の専門的知見と経験を行政不服申立てに活用することにより、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済にもつながります。このことは、時を同じくして成立した改正行政不服審査法の、1.公平性の向上、2.使いやすさの向上、3.国民の救済手段の充実・拡大という行政不服審査制度見直しの趣旨にも適うものです。
このような経緯があり、行政書士の長年の悲願であった行政不服申立ての代理権を、一定の研修課程を修了した行政書士(=特定行政書士)に付与することができるよう「行政書士法の一部を改正する法律」(平成26年法律第89号)が平成26年6月27日に公布され、同年12月27日に施行されて、特定行政書士制度が創設されました。

特定行政書士とは

行政不服申立ての代理権付与により、官公署に提出する書類等の作成・提出、聴聞・弁明の機会の付与手続の代理といった従来の行政書士の業務は、新たなフィールドにその業域を広げることとなりました。その業務を適正に遂行し、国民の権利利益を擁護するためには、今まで培った行政書士の専門的知見に加えて、当然に、新たな業務分野における相応の知識や技能の習得が必要となります。
このため、特定行政書士となるためは、日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修(特定行政書士法定研修)の課程を修了しなければなりません。

特定行政書士の業務について

特定行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することができます。
これにより、行政手続及び行政不服申立て関する手続を熟知する特定行政書士が、許認可等の申請から不服申立て手続に係る業務を行うことができます。

【根拠規定:行政書士法第1条の3第1項第二号及び同条第2項】

<特定行政書士業務の主な事例>
 ・建設業許可申請の不許可処分
 ・産業廃棄物収集運搬業等事業停止処分
 ・特定医療費不支給認定処分

<処分に対する審査請求手続きの流れ>

※他の法律において制限されているものについては、業務を行うことはできません。

その他

  • 特定行政書士証票
    行政書士証票は銀色を基調としていますが、特定行政書士証票は金色を基調としています。
  • 特定行政書士徽章
    特定行政書士徽章(バッジ)は、行政書士徽章に比べて、直径が2mm大きく、厚さが1mm厚くなっています。
  • 特定行政書士の行政機関での活躍
    特定行政書士は、地方公共団体(一部事務組合を含む。)に置かれる行政不服審査会の委員又は審理員として全国各地で活躍しています。