法定相続情報証明制度について
会長 遠田 和夫
平成29年5月29日(月)より、全国の登記所(法務局)において、各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まります。
本制度の開始にあたっては、昨年12月、法務省より「不動産登記規則の一部改正(案)」に関する意見募集が行われ、本会としての考え方を整理・集約した意見書を提出しました。本会は、制度新設の趣旨に賛同することを前提として、本制度がより国民の利便に資する制度となるよう以下のように考えております。
〇法定相続情報証明制度の新設(そこで予定されている法定相続情報一覧図の作成及び法定相続情報一覧図保管の申出並びに法定相続情報証明書交付申出の代理人としての取り扱いを含む。)については、法定相続証明書が不動産登記に限らない汎用性を有することに鑑み、「不動産登記」「規則」ではなく、戸籍法の改正又は新法によるべきである。
〇法定相続情報一覧図の保管の申出及び法定相続情報証明書交付申出においては、各士業法において定められている能力担保に沿い、各士業の業務範囲内でかつ業務の遂行に必要がある場合に限って利用できるように、申出書には各士業別にできる業務を明記しそれに従って利用できるようにするべきである。あわせて、虚偽の交付申出及び法定相続証明書の不正使用に関する罰則を課すべきである。
〇法定相続情報証明制度の所管を法務省(法務局)から総務省(市区町村役場)に移管すべきである。
以上の意見については、遺憾ながら本制度に反映されておりませんが、本制度によって各士業における業務範囲が変動することはないとされているところですので、私共行政書士としては、相続関係説明図の作成を独立した業務として遂行できる資格者として、引き続き、制度が適正かつ円滑に運用され、真の意味で国民の皆様の利便に資するよう注視してまいります。
本制度が国民のための制度として広く利用されることを期待するとともに、本会としても制度の趣旨を踏まえ、適正な利用を推進してまいります。