平成25年12月

=会長談話=
法令の遵守と行政書士倫理について

日本行政書士会連合会
会長 北山 孝次

 去る11月、職務上請求書を使用して不正に個人情報を取得した戸籍法違反などの疑いで福岡県行政書士会の会員が逮捕されました。
 職務上請求書については、昨年、司法書士と行政書士兼業の会員が関与した偽造事件を契機に、日行連では可能な限りの偽造防止策を施した新たな職務上請求書に切り替えるとともに、各都道府県行政書士会を通じてその使用について会員指導を強化するなどの措置を講じてまいりました。
 しかし、再び、行政書士によるこのような事件が発生し、また、この不正に取得された個人情報がストーカー行為に利用されるなどの更なる被害を生む結果となったことは痛恨の極みです。
 また、広島では県の融資制度を悪用した詐欺などの疑いで広島県行政書士会の会員が、千葉では外国人の「投資・経営」の在留資格を得るために会社登記申請を行い司法書士法違反の疑いで東京都行政書士会の会員が、逮捕されるなど、行政書士の逮捕報道が続いており、慙愧に堪えません。
 行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することをその制度の目的とする行政書士が、本来、国民のために提供されるべき行政書士の業務上の知見や行政の制度を悪用するなど言語道断です。また、予てから申し上げているように、在留資格の取得や会社設立、営業許可等の許認可等業務を通じて、日頃から外国人や各種事業者との接点の多い行政書士が、業務の範囲を超えてさまざまな相談を受けることは当然にあることですが、他士業の独占業務を侵害するような行為は決して許されるものではありません。
 一握りの行政書士の不正への関与が、誠実に業務に精励している全国の行政書士だけでなく、国民に対する背信行為となり、またたく間に行政書士制度を揺るがすことになりかねません。
 他の隣接法律専門職種に比べ、行政書士の業務範囲は広く、そのクライアントも極めて多様です。さまざまな手続きに関与し、さまざまな国籍・業種の人々と関わるなかで、事件に直面するリスクは他の資格者より多いのかもしれません。他の資格者以上に、則を越えない自覚と誘惑に負けない自律が肝要です。本人の自己管理だけに留めることなく、次のような組織的対応を図っていることも、ご承知のうえ、行政書士会員の関係活動への積極的な参加、参画を求めます。

1.研修活動
 中央研修所では、 他士業制度等の理解を深めていただき、会員の倫理向上のために、新入会員を主な対象に、業際問題にも踏み込んだ「コンプライアンス研修」を全国展開し、今年度からはオン・デマンドで配信いたしますので、是非とも受講いただきたいと思います。

2.周知、啓発活動
平成26年版の行政書士手帳にも、コンプライアンス四原則を再収録した「行政書士必携~コンプライアンス確立のために~」が添付されています。これには、行政書士倫理をはじめ、職務上請求書の適正な使用及び取扱いに関する規則や他士業との関係について触れておりますので、会員各位におかれましてはあらためて精読をお願いいたします。

3.暴力団排除活動
 平成25年3月末現在、全国26の行政書士会では暴力団等排除対策委員会を立ち上げ、年々巧妙化する反社会勢力の誘惑に会員が巻き込まれない為の研修会などの施策を展開するとともに、他団体と連携して地域での活動にも積極的に参画しています。

 行政書士は国民の権利擁護に努めるべき法律専門職種の国家資格者であり、その法令遵守と職業倫理は社会の範をなるべきで、決して指弾されることがないよう、今一度、「行政書士倫理」の原点に立ち返っていただくよう希求いたします。

以上